
電解脱脂法の特徴
バフ研磨したステンレス材表面のバフ粕や研磨剤の動植物油を除去する技術です。この電解脱脂法は研磨面の光沢度が低下しない電解技術となっています。
また、電解脱脂後のワーク面の品質はホワイトグローブ試験で合格レベルとなっております。
電解研磨の前処理工程として電解脱脂は欠かせない工程です。脱脂処理が不十分な場合、ワーク表面の疎水性と親水性部分が現れ、疎水性部分の電気抵抗が高くなり、電流密度が低下し、電解研磨施工のバラツキ要因となります。
脱脂方法には苛性ソーダを主成分としたアルカリ系洗浄や有機系洗浄剤が用いられていますが、脱脂後の洗浄作業やVOC(揮発性有機化合物)による環境汚染や安全衛生面の問題が多く、環境に優しい電解脱脂法をお勧めします。
弊社ではペースト脱脂法技術も有しております。

電解脱脂施工状況

電解脱脂施工完成品
電解脱脂法とは
バフ研磨したステンレス材表面には研磨輪のバフ粕と研磨剤に含有されるステアリン酸などの脂肪酸と動植物油脂が付着しております。脂肪酸はアルカリと接触すると石けんとなり、水に溶けやすくなり簡単に除去できます。また動植物油脂は強アルカリ環境下ではエステル結合が切れ、加水分解反応が進み、石けんとグリセリンが生成します。
この反応を電解法で行わせたのが電解脱脂法です。
ワークを陰極として水の分解反応;2H2O+2e-→H2↑+2OH-によってワーク表面を高アルカリ性として油分の分解を行い、電解液に溶解除去します。
一方、バフ粕は電解反応で発生するガスの浮力で電解液に懸濁させて、除去します。

焼け取り電解法の特徴
焼け取り電解法は溶接焼け、歪抜き焼け、曲げ加工焼けなどの加熱変色部を素地の状態に近づける技術です。
焼け取り電解技術は成熟した技術で電源装置や電解液も各種販売され、広く普及しております。
しかし、施工表面を素地に近い状態に施工するには経験と電解条件の調整が必要です。また、手動式隔膜電解研磨法(NEP法)や電解洗浄法を組み合わせて施工することで、製品の表面処理の完成度が更に高めることができます。
お客様で対応できない困難な焼け取りの除去や焼け取り施工を含む製品の総合的な表面処理(電解研磨、電解洗浄など)のご依頼は、豊富な経験と高い電解技術をもつ弊社へご用命ください。

施工前


施工後
焼け取り電解法と電解洗浄法の組み合わせで、焼け取り部は素地の状態に仕上がり、紙シールやマジックの除去もできます。

施工前


施工後
ステンレス材に鉄鋼材が溶接されていても問題なく、美しく仕上がります。また、溶接部の隙があっても電解洗浄法を組み合わせることで均一な仕上がり面となります。
他の焼き取り方法
ステンレス材を溶接や加熱処理を行うとステンレス材の主成分であるFe,Crが酸化物を生成して変色します。生成酸化物はステンレスの組成、温度、処理環境(雰囲気)で異なります。よって、適した処理方法が必要です。
焼け取り法には電解法以外にバフ研磨法、酸洗い法も多く施工されております。
①バフ研磨法
アーク溶接など高酸化雰囲気で溶接した場合、酸洗い法や電解法では凹部の酸化物の完全除去が困難で施工に時間を要するのでバフ研磨を施工するのがベストです。但し、バフ研磨による酸化被膜の破壊と塑性変形により耐食性が低下するため、不働態化被膜処理を行う必要があります。
②酸洗い法
フッ化水素酸、硝酸、硫酸、塩酸などの混酸に浸漬や塗布および噴霧して処理します。最も簡単な施工ですが、廃液や洗浄廃液の処理が必要です。酸洗い施工面の耐食が低く、不働態化被膜処理をお勧めします。また溶接熱により鋭敏化(Cr濃度不足部)した部分の耐食性が低いため、酸溶解が早くなり、白色化する欠点があります。

SUS304の溶接部焼け取り処理
#320バフ研磨品
酸洗いは表面の光沢度低下と鋭敏化部分の白色化が起こります。焼け取り電解法では鋭敏化部の変色が起こりません。

不働態化被膜処理とは

手動式隔膜電解研磨法(NEP法)

手動式隔膜電解研磨法(光沢化処理)

電解洗浄法

電解脱脂法(バフ粕除去)

焼け取り電解法

錆取り電解法

ペースト脱脂法

セミクリーン工場
